神戸なランチと、ベルギービールと、魍魎と
私が「全国湯たんぽ推奨委員会」に入会したのは、12月18日の「日記」でも書いたとおり(<いや、そんな会、ないし)。正月に実家に帰ったおりも、元日に来ていた弟一家に湯たんぽのすばらしさを切々と訴えました。特に義妹が感銘を受けてくれたようで、なにより。
正月3日の本日は旧友と会って、神戸・三ノ宮へくり出しました。ホテルトアロードにある「クリクリ」は、値段のわりにおいしいお料理が味わえることで、地元では知られたカフェレストラン。ランチタイムには、メインがパスタ料理のコースが1,400円、メインに魚料理か肉料理を選べるコースが1,700円で味わえます。焼きたて自家製パンに自家製ジャム、スープ、サラダ、ソフトドリンクはバイキング。プラス200円でワインやビールも頼めます。
焼きたてパンはもちろん、カシス&ブルーベリージュースはさっぱりしたのどごしでエクセレント! 選んだ魚料理がバルサミコソースからホワイトクリームソースに変更になったのはかなり残念でしたが、「クリームソースはお腹にもたれる」と覚悟したわりには、あっさりおいしくいただけましたv シェフの腕と素材の差でしょうか。
次に向かったのは、ホテルトアロードに行く途中で(主に友人が)目をつけていた「ビアカフェ ド ブルージュ」。ベルギービールをメインに、世界のビールが味わえるカフェです。
入るなり「アルコールですか?」と尋ねられ、バーカウンターに案内されたのには、ちょっと笑いましたが(ふたりとも、そんなに「呑んべえ」に見えるか)。もとより呑む気満々なので、問題なし! 私は大好きなシメイブルー、友人は樽生のたぶんベルヴュ・クリークで、新年の乾杯!
シメイブルーはアルコール度数9%。深みのあるコクとほどよい苦みと乾いた干し草みたいな香りに、飲みごたえを感じる逸品です。ベルヴュ・クリークは自然発酵のランビックビールにチェリーを漬け込んだベルギーならではのフルーツビール。美しいルビー色で、甘さと香りがクセになりますv
サービスの籠いっぱいの殻つき落花生を剥き剥きしながら、ゆっくり飲んで、じっくりしゃべりました。
いやその。私、けっこう不器用なもので、殻つき落花生を割ると、中身のピーナッツをバラバラと殻入れの籠に落としてしまうんですね。殻をかき分けて、落としたピーナッツを探すのを、けらけら笑ってくれる友人。……ええやんか。ココのピーナッツは活きがええねん。生きとうねん!
そこでも、私は「全国湯たんぽ普及委員会」会員(<ビミョ〜に名前変わっとる)の務めとして、湯たんぽの良さを説きました。すると友人は言うのです。
「うちは生きてる湯たんぽがあるから、ええねん」
「生きてる湯たんぽ!?」
「うん、ナマ猫おるから!」
「ナマ猫ぉ!?」
「うん。それも2匹」
「2匹ですとお!?」
「家族のなかでも、母はエサ係、私はいっしょに寝る人と決めてるみたいで、布団のなかに入ってくるねん」
「なんですとお!!!」
嬉々としてナマ猫湯たんぽの良さを語る友人にうらみうらやましさを感じたのは、言うまでもありません(「恨(うら)み」と「羨(うらや)み」って、一字多いか少ないか、なんやね)。
そのあとは、三ノ宮駅前のOSシネマズミント神戸で『魍魎の匣』を観ました。私はマスコミ試写会で観ていたのですが、ランチのワインと2杯のビールが効いたか眠かったので、一度観た映画なら途中で寝てしまっても大丈夫、な感じで。友人は初見のうえに、割引券を持ってきてくれていました。私も割引の恩恵にあずかって、ラッキー!
秋のドラマでは、理系ミステリー『ガリレオ』と岡田准一主演ということで『SP 警視庁警備部警護課第四係』に注目していました。先に観た『魍魎の匣』で、中禅寺秋彦の所作に「ナチュラルにおもしろい含みをもたせた演技をする人だなあ」と思い、『SP』では尾形総一郎の演技に「あの含みは京極堂という役柄からだったのか。でも、こんどは感情的なギリギリ感という含みをもたせているなあ」と思い、堤真一という俳優さんが気になっていたのです。
二度目の『魍魎の匣』で、原作にあるような始終不機嫌でどこか張りつめたようなところのある「変人」ではないけれど、飄々としていて、他人(主に関口)をおちょくり、人好きのする堤=中禅寺は、映画というメディアで観るうえで楽でいいと思いました。原作そのままの中禅寺や関口のキャラを、映画で生身の人間に演じられたら、ちとつらいものがあったかも、と思えるので。
同じことは榎木津にも言えるかな。でも、彼はもうちょっとエキセントリックでもよかったかな。宮迫博之の木場修太郎、荒川良々の和寅、マギーの鳥口守彦、宮藤官九郎の久保竣公は、「ああ、なんかそうそう」という感じでした(笑)。
ストーリーも、原作に比べると、ずいぶん簡潔になっていました。『魍魎の匣』が映画化されると聞いたときは、「あれを!?」と半信半疑でしたが、観れば「おみごと!」のひと言。『魍魎の匣』としてあるべきエピソードはそのままに、最初は榎木津の「柚木加菜子」、関口・敦子組の「御筥様」、鳥口・青木の「美少女連続殺人事件」、木場の「美波絹子」の各ルートをバラバラに進めながら説明し、徐々に一本に寄り合わせ、最後に一気にカタストロフィーに落とし込んだのは、わかりやすく、ストーリーの起伏もついたと思います。冗漫に感じることなく、まさにエンタテインメント作品として楽しめました。
特筆すべきは、陰陽師な京極堂の堂に入った反閉(禹歩(うほ)/呪術的な歩行作法)が見られたことでしょうか。あれで迫られたら、私だってたじろぐわな(笑)。
ちょっと「惜しいな」と思ったのは、ラストシーン。たしか原作どおりのシーンだと思いますが、「あれが、あの大きさの匣に入るかな?」と身もふたもないことを考えてしまいました。あの「ほう」も、想像していた音とは違っていて、「あれ?」という印象。個人的には、雨宮と匣が映るだけで、最後の映像はないほうがよかったかな。
そんなことを思いつつ、映画館を後にしました。上島珈琲で豆乳入りコーヒーを喫したあと、明石へ戻ってカラオケしました。
寒かったけれど、中身はホットな1日でした。Aさま、また明石に帰ったときは、遊んでやってくださいねv
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