恐怖夜話
まだ草木も眠らぬ、20:00過ぎ。スーパーで買ったものを冷蔵庫に片付け、PCの前に座っていた私の耳に、それは聞こえてきました。
ぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃ
ちょっと声が大きめの男性と、くぐもった感じの声の男性が、ふたりで会話しているような……。
最初は、マンションの下の路上で男性ふたりが話しているのかな、と思いました。昼間は車の騒音や生活音にまぎれてしまいますが、夜の静寂のなかでは、距離があるはずの人の話し声がけっこうはっきり聞こえてくることがあります。
一度はそう納得し、PCに向かっていたのですが。頭の中でどう否定しても、その声はキッチンから聞こえてくるのですよ。冷蔵庫の前のフローリングの床にヤンキー座りして会話をしているような近さで、低さなんですよ。
おかしい。私には霊感というものがこれっぽっちもないはずなのに。
「生涯、死体の第一発見者にはならない」と誓い、「私の夢枕に立つようなヤツは、家族でも友人でもない」と周辺人物各位に高らかに宣言している、その方面にはすんごい小心者の私です。こんなチキンハートを哀れんで、神様は私に霊感を与えなかったのだ、と本気で思っています。
でもでもでも、今までどんなに考えても納得のいく理由が思いつかない体験をしたことが一度だけあって、それが音がらみなんです。……長年、押し入れの奥にしまい込んでいて、決して鳴るはずのないオルゴールの音が、未明にワンフレーズだけ聞こえた、というね。
ぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃ
はるか過去の恐怖体験にまで遡っている私の気持ちなど知らぬかのように(いや、知らんだろ)、ヤツらの会話は続いています。シチュエーション的には、同じ部屋の中に見知らぬ男がふたりいて、私を無視して話しこんでいる、という世にもシュールな物語。
だんだん「お前ら、○モか(後学のために、話、聞かせろ)」くらいは言ってやっても、罰はあたらないような気がしてきました。
立ち上がって、角を曲がり、キッチンを見やります(仕事机からキッチンは、立ち上がって家具の角を曲がらなければ見えません)。
……なにもいません、当然のことながら。
ぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃぶしゃ
でも近くなった分だけ、「声」は大きくなっています。ええ、どう考えても、冷蔵庫の中から聞こえているとしか。
はい、多少、冷蔵庫と親密なおつき合いをされている方は、もうお気づきのことと思います。ぶ、ぶ、ぶ、ぶ、ぶの部分は、コンプレッサーの音。しゃ、しゃ、しゃ、しゃ、しゃの部分は水落の音。それが、いつもより大きく響いていたのでした。これ、すなわち、異常音! 触れば、冷凍庫脇の外側がいつも以上に熱い!
慌てて冷蔵庫を開くと、吹き出す冷気が足りない感じ。さっき適当に詰め込んだ食料を取り出し、整理して、できるだけ隙間をつくるように入れ換えました。
その後もしばらくぶしゃぶしゃ文句を言ってらっしゃいましたが、今は静かです。冷凍庫はきっちり冷えていますので、たぶん大事にはならないでしょう。……買ってから19年になりますから、油断なりませんが。
そうでなくても、今日来た特別区民税・都民税通知書の、税額前年比1.7倍のアコギさかげんに目眩を起こしているのです(いきなり、ケタ数、変わるんだもん)。
秋の待機期間が響いて去年の収入は一昨年より減っているのに、税金が増えてどうするんだ……。税制が改正されたとは聞いていましたが、思わず「住民税 税額試算コーナー」(こちら)で確認計算してしまいましたよ!(そして、間違ってなかった orz)
そのうえ、この時期に冷蔵庫が故障なんて事態になったら、泣きっ面に蜂。……すでに洗濯機がヤバイんです(フリースって、実は洗濯機にやさしくない)。だましだまし使ってるんです! 勘弁してください。
ああ、住民税ショックのおかげで、「遠くへ行きたい」病が再発しそうです。とりあえず引っ越したい。どこへって、住民税の安いところへ。ついでに、「ふるさと納税」が気になってきました。危機感を覚えると、アンテナが高くなりますね(苦笑)。
その前に、さっさと仕事を片付けろというオチがつく、今日このごろ orz。
現代の恐怖話、四題。おあとがよろしいようで。