Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

光すらゆがむ果てしなき宇宙へ

 本年3月3日に声優の広川太一郎が逝去されていたのですね。アーサー・C・クラークもそうですが、広川氏も私の子ども時代、あの好奇心旺盛だった時代の象徴的な存在でした。なんと言っても、NHKアニメ『キャプテン・フューチャー』のヒーロー、キャプテン・フューチャーことカーティス・ニュートンの声を当てていらしたのですから。
 
 『キャプテン・フューチャー』は、エドモンド・ハミルトンが1940年に発表し、短編を含めて1951年まで執筆を続けた、SF黎明期のスペースオペラ。私が読んだのは高校時代、ハヤカワ文庫SF(早川書房)から出版されていた文庫版です。
 2004年より「キャプテン・フューチャー全集」全11巻が創元SF文庫(東京創元社)から刊行されたのは、以前にもお知らせしたとおりです。

 この作品を知ったのは、1978年11月〜1979年12月にNHKで放送されていたアニメからでした(全52話/『未来少年コナン』の後番として放送)。コメット号を駆り、いろいろな星に赴くフューチャーメンの活躍に心躍らせ、容姿も行動もハンサムで、でも弱点もあるカーティスに惚れ込み、毎週の放送が待ちきれなかったことを覚えています。
 
 カーティスは「太陽系最大の科学者にして冒険家、最高の宇宙船操縦士」と称えられる、いわゆる天才型ヒーロー。幼いころ、父母を悪漢に殺され、月でサイモン教授やグラッグ、オットーに育てられたという過去があります。長ずるまでまわりに女性がいなかったため、女性にはどう接していいかわからず、ギクシャクしがち。
 カーティスを育て、のちに頼もしい仲間としてコメット号の乗員となったのは、まず「生きている脳」ことサイモン・ライト教授。彼はカーティスの両親の研究仲間だった科学者で、死期が近づいたとき、カーティスの父、ロジャーに頼んで自分の脳を取り出し、漿液が入った透明なケースに収めました。自分では動けませんでしたが(グラッグとかに持ち運ばれていた)、のちに自力移動が可能になります。彼がカーティスを「坊や」と呼ぶのが、もうのたうちまわるほどたまりませんv(ああ、ここでも妙な「血のつながりのない親子萌え」が……)
 さらに、ロジャーとサイモンがつくり出した「人造生命第一号」ことロボットのグラッグ、やはりふたりの研究成果である「人造生命第二号」こと合成樹脂製のアンドロイド、オットーと、彼らのペットであるイイクとオオグ。以上が、「フューチャーメン」です。

 そして、カーティスと出会い、さまざまな事件に遭遇するうちにほのかな恋心を抱くようになる、惑星警察機構第3課の女性諜報員、ジョオン・ランドール。その上司であり、惑星警察機構第4課(惑星パトロール)の司令であるエズラ・ガーニー(フューチャーメンに協力的かつ紳士的なエズラ司令にも、密かに「おじさま萌え」していましたv)。

 こうした、カーティスを取り巻く個性豊かでにぎやかな人間関係と、訪れる星々の住民たちの特殊な暮らしや政治形態の描写(それは、当時にあった現実の政体や社会への皮肉にもなっています)、カーティスの父母を殺したヴィクター・コルボと因縁のある「火の魔術師」ウル・クォルンをはじめとする敵との戦いが見ものでした。
 
 NHKで放送されたアニメでは『キャプテン・フューチャー』『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』『ニルスのふしぎな旅』が、私の永遠のベスト3です。
 
 基本的におだやかで、人当たりのいい青年。ときに厳しく、ときに不器用という、正統派ヒーローのカーティスを好演されていたのが広川氏。明るくて、さらに深く響く、男性らしい「いい声」は、間違いなくカーティスの大きな魅力のひとつでした。
 『宇宙戦艦ヤマト』の古代守、『ラ・セーヌの星』の「黒いチューリップ」ことロベール・ド・フォルジュ、『ムーミン』のスノーク、(犬の)『名探偵ホームズ』のホームズなどなど、今でもキャラクターと声を同時に思い出します。
 寂しいですね、本当に。衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。


東京創元社キャプテン・フューチャー全集」特設サイト↓
http://www.tsogen.co.jp/wadai/0402_00.html