Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

京の奥座敷「鞍馬・貴船」の旅 その2

 枕が合わなかったのか熟睡できなかったわりには、爽快に目覚めた朝。「あれえ、おかしいなあ。あんなに飲んだのに」と思うほど。空気がおいしいと、二日酔いは起きないのか。これは新発見。
 8:00に仲居さんに呼ばれて、川床にて朝食。湯豆腐、出汁巻き、焼鮭に、自家製のたっぷりとした香の物。なによりご飯がおいしい! あっと言う間に、またおひつは空になりました。

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貴船川の清流。


 お勘定を済ませたあと、宿に荷物を預けて、まずは再びの貴船神社拝殿・本殿へ。賀茂川の水源に当たる貴船神社の御祭神は高龗神(たかおかみのかみ)。龍神である、水の神さまです。古来より祈雨の神として信仰され、晴れを願うときは白馬、雨を願うときは黒馬が奉納されてきましたが、やがて、本物の馬に代わって、馬の絵を描いた木の板が奉納されるように。これが絵馬の始まりとされています。
 水の神さまらしく、ここでは運勢も「水占(みずうら)みくじ」で占います。「水占おみくじ」の文字と枠だけが書かれたおみくじを1枚、200円で購入。境内の霊泉に浮かべると、あら、不思議。占いの文字がおみくじに浮かび上がってきます。
 昨日、鞍馬寺金堂でもおみくじを引いたのですが、結果はまったく同じでした。そうかあ。大吉ではありませんが、凶・大凶でもなかったんですよ。

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貴船神社の御神木は、樹齢400年の桂。
御神木が落葉樹というのは珍しい。


 拝殿・本殿から貴船川の上流へ歩けば、10分足らずで貴船神社結社(ゆいのやしろ)に至ります。御祭神は磐長姫命(いわながひめのみこと)。木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)の姉神です。

 天孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)は、大山祇命(おおやまつみのみこと)からふたりの娘を与えられましたが、美しい木花之開耶姫を娶り、醜い磐長姫を父神の元へ帰してしまいました。大山祇神は、天孫が花のように栄えるよう木花之開耶姫を、その繁栄が岩のように永遠のものとなるよう磐長姫を与えたのでしたが、瓊瓊杵尊が磐長姫を返したことで不老長生はかなわなくなりました。
 選ばれなかった自分を恥じた磐長姫は「縁結びの神として良縁を授けん」と縁結びの神になった、ということで、貴船神社結社は平安時代から続く縁結びの社であります。

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結社にも御神木の桂の大木が。御神木のそばに
寄ると、気の力を分けていただけるのだとか。


 さらに上流に向かって歩くこと、約10分。貴船神社奥の宮の参道に入ります。もともとこの地が貴船神社の本宮でした。御祭神は闇龗神(くらおかみのかみ)ですが、高龗神と同じ神、あるいは対の神と言われています。
 「高」は山、「闇」は谷を表わす言葉。「龗」は龍の古語だそうです。龍を水の流れとすれば、なるほど、貴船という場所そのものと思えます。

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貴船神社奥の宮の境内。緑したたる清しい聖域だ。


 さて、縁結びの神を祀る貴船神社は、一方で縁切りの神、呪詛神としても信仰されています。屋代本『平家物語』および『太平記』に登場する「宇治の橋姫」や謡曲『鉄輪(かなわ)』にも描かれた「丑の刻参り」で知られる神社なんです。

 ただし、「丑の刻参り」は呪詛の手法ではありません。貴船明神が貴船山に降臨したのが「丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻」であったため、丑の刻に参れば、願いごとはより確かにかなうであろうという祈願の作法なのです。
 ついでに。「丑の刻参り」に付きものの、藁人形に五寸釘を打ちつけるという呪詛は、江戸時代に生まれたもの。宇治の橋姫も鉄輪女も、藁人形で呪ったりしませんでした。火をつけたロウソクを脚に挿した鉄輪(五徳)を頭にかぶって、鬼のような装いをして、都大路を駆け抜けただけです。


 パワースポットとも言われる貴船神社。『陰陽師』の安倍晴明源博雅のように、「ゆこう」「ゆこう」と詣でてみるのはいかがでしょう。

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奥の宮の境内にある、杉と楓が合体した「連理の杉」。


 「喜らく」で荷物を受け取り、旅館の車で叡山電鉄貴船口」駅まで送っていただきました。ここから鞍馬駅に戻り、「くらま温泉」に向かいます。
 鞍馬駅に着けば、叡山電鉄のダイヤと連絡している、「くらま温泉」の無料送迎バスが待っていました。格子戸の民家が並ぶ、鞍馬の山里を抜けたところにある「くらま温泉」は、北山杉の美しい山並みのなかに佇む温泉施設。露天風呂、大浴場、食事処、宿泊施設まで備えています。
 私たちは、露天風呂「峰麓湯」のみ1回利用できる「露天風呂コース」(1,100円)を選びました。天然硫黄温泉ですが、硫黄臭くはありません。緑を目で楽しみ、蝉の声を耳にしながら温泉に浸かり、山から吹いてくる涼風を受ける。ああ、極楽。
 長湯のあとは、本館の食事処で温泉玉子入りの温かい月見そばと、伏見・黄桜の京都麦酒のケルシュをくいーっ! すっかり落ち着いてしまい、またしても根が生えそうになりました。


 のんびりしたあとは送迎バスで鞍馬駅に戻り、駅前の土産物屋さんで鞍馬名物「木の芽煮(きのめだき)」や「葉山椒」「ちりめん山椒」を購入しました。
 それにしても、明石に帰り着いて、また葉わさびそばとビールで旅の打ち上げをした私たちは、なんだかすごく……そばづくしです。

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明石に帰り着けば、なんとも不気味な夕焼け雲が……。


貴船神社」サイト
http://www.kibune.or.jp/jinja/

「山の宿、水の宿 くらま温泉」サイト
http://www.kurama-onsen.co.jp/