Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

ボージョレ・ヌーヴォーを語ってみた。

 とーとつにボージョレ・ヌーヴォーについてウンチクを語りたくなった! というわけで、「ボージョレ・ヌーヴォー」で検索したら出てくるような情報のみで申しわけないですが、ちょいとまとめておきますね。


 ボージョレ(Beaujolais)は地名です。フランス南東部、スイスとイタリアに隣接するローヌ=アルプ地域圏に属し、地域圏の首府リヨンの北に位置します。ワインの産地として知られ、ボージョレ産のワインは「ブルゴーニュ・ワイン」に分類されます。
 ヌーヴォー(nouveau)は「新しい」という意味。ボージョレ・ヌーヴォーはつまり「ボージョレ地区の新酒」ってことですね。

 ボージョレ・ヌーヴォーBeaujolais Nouveau)およびボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー(Beaujolais Villages Nouveau)は、その年のブドウの出来をチェックするためにつくられる、試しのワインです。9月のブドウの収穫から11月の解禁日までに醸造しなければならないので、ブドウを急速に発酵させる特別な製造法が用いられます。
 ワインとは本来、年月をかけて醸造するお酒。だから「新酒(プリムール)」と言われれば、そのとおり新酒ではありますが、なんだかビールや日本酒の「新酒」と勘違いしてないか、日本人。好みはともかくとして、ワインとしてはそんなにありがたがって飲むほどの質では……(モゴモゴモゴ)。

 ボージョレ・ヌーヴォーおよびボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーは、赤ワイン用のブドウであるガメイ(ガメ)種からつくられます。だから赤かロゼしかありません。
 白ワインのヌーヴォーで日本で知られているのは、ボージョレの隣りのマコネー地区でつくられるマコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー。白ワイン用のブドウ、シャルドネのワインです。ほかには、フランス西部のナント地区のムスカデ(Muscadet)のワイン、ムスカデ・プリムールくらいでしょうか。
 ほかのワインの産地でも「新酒」はつくられますが、大々的に商品として日本に輸出されているのは、私の知るかぎりでは上記の3種。
 ヌーヴォーは本来のワインではないので、そんなにつくらないわけですよ。もともと村の収穫祭用のお酒だったんだもの(日本風に言えば、どぶろくみたいなもの)。


 ここでボージョレ・ヌーヴォーボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーの違いに触れておきましょう。フランスには、AOCアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)という、原産地保証制度があります。ワイン、チーズ、バターなどのフランスの農業製品において製造過程や品質を保証するもので、AOCの基準を満たしていないものは、AOCの定めた産地名称で販売することが禁じられています。
 ボージョレワインとして「Appellation Beaujolais Contrôlée」とラベルに記していいのは96カ村。そのなかでもソーヌ=エ=ロワール県の8カ村とローヌ県の38カ村が、ラベルに「Appellation Beaujolais-Villages Contrôlée」と記すことが許されています。 
 「ボージョレ・ヴィラージュ」のほうが、ふつうの「ボージョレ」よりも規格が厳しいのです(試飲の際に店員さんが言った「ランクが上」というのは、そういうこと)。これは、ヌーヴォーに限らず、ふつうのボージョレワインにも適用されます。


 さて、ボージョレ・ヌーヴォーおよびボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーの解禁日は、11月の第3木曜日午前0時。なぜ解禁日があるのかと言えば、解禁日設定以前にはワインとしてでき上がっていない粗悪なものが出回ったからですね。「解禁日までじっくり醸造しなさい」というお上のお達しなわけです。
 日本で「ボージョレ・ヌーヴォー」が騒がれるようになった一因には、この解禁日があると思うんですよ。東洋の島国・日本。実は本国のフランスより、欧州各国より、いちばん早く11月の第3木曜日午前0時を迎えるものですから。ええ、時差の関係で。


 空輸の関係や数量確保のためか、日本の「ボージョレ・ヌーヴォー」はたいへん高価。たぶんフランスでは、安いものでフルボトル500円もしないんじゃないかと思うんですけどね。空港で解禁を待ち構えて飲むような、一時期のフィーバーぶりには「なんだかな」と思うこともあったのですが……。
 たとえば、私の実家では、毎年、年末年始に帰省する私のために母が1本か2本買っておいてくれます(ラベルがきれいで、華やかな感じでいいんだとか。ついでに「ボジョボジョ飲む?」とか言うの、やめてください。なんかほかのモノ想像するから orz)。こんなふうに、「ボージョレ・ヌーヴォー=おめでたい酒」という感じで日本の土壌に根付くのならば、それもまたアリかと思ったりして。ヌーヴォーにはヌーヴォーでしか味わえない、わくわくするような風味がありますからねv