Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

初夏の水戸・北茨城、満腹旅行 3日目!

 「横山大観が好んで描いた、松と日の出を観る!」ということで、4:45の日の出の時間に合わせて、4:35に起床。すでにほんのりと明るい窓の外を、固唾を飲んで見つめます。
 水平線の向こうに真っ赤な上辺が見えたかと思うと、みるみるうちに真円に。その円に黄色がさし、赤みがかった黄金色の道が波を伝ってこちらへ伸びてきます。富士山のご来光とはまたひと味違ったスペクタクル。「なるほど。絵心のある人なら描きたくなるだろう」と感じ入る美しさです。

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真紅の真円が水平線上に現われる。
(写真はすべて、画像クリックで大きくなります)


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金色に輝きはじめて……。

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絵に残したいような光景。


 そのあと、利用開始時間の6:00に露天風呂に行こうなんて話していたのですが、二度寝から目覚めたら7:00過ぎ! 朝食は食事処で7:30からです。慌てて身繕いをして、夕食と同じ場所に。
 ご飯を白飯にするか、わかめごはんにするかと聞かれて、「わかめごはん」と答えたのですが、出されたものは白飯でした。他のテーブルでも「俺、白飯頼んだけど」「私、わかめごはんって言ったけど。まあ、いいわ、これで」という声が……。


 このホテルは、昔なつかしい「観光旅館」なんですね。今どきの温泉旅館らしく、露天風呂に凝ったり、男女の風呂を日替わりにして差をつくらないようにしたり、足つぼやエステマッサージを取り入れたりして女性客にアピールしています。けれども、その根本にあるのは、昔から変わらない、男性客と団体客を上客と見る眼差し。
 女性同士の気安さからか、仲居さんの言葉づかいや態度は、よく言えばフレンドリー、悪く言えばぞんざい。男性同士のテーブルでは一歩退くしとやかさですが、女性同士や老夫婦のテーブルでは食器の置き方も繊細さに欠けます。
 まあ、しかし、ネットで見つけた格安プランで、仲居さんに心付けもせずに泊まっている身としては、そこまでお客さま扱いを求めてはいけないのかもしれません。でもね、注文とは違うものを持ってくるっていうのはちょっと……。

 そんなところにちょっと不満を残しながらも、朝食はおいしくいただきました。……納豆以外は! なぜ五浦まで追いかけてくるんだよー。こんな県境まで追ってくるなんて、想定外だよー。ああ、もったいないオバケが出ーるー。


 朝食後はいそいそと露天風呂に。男女のお風呂入れ替えで、昨日とはまた違った風景の大きなお風呂をふたりで独占! 朝風呂はいいですよね。青空と波頭がきらきら光る紺碧の海、まっすぐに視界を分ける水平線を見ながら、のんびり。遠くに聞こえる潮騒に、ときおり混じる鳥のさえずりも清々しい。
 ナトリウムカルシウム塩化物泉は、神経痛・疲労回復・冷え性・筋肉痛・慢性消化器病などに効くそうです。



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旧天心邸から観た海辺。
左の崖に白く見えるのは、五浦観光ホテル 別館大観荘。


 さて、チェックアウトしたあとは、ホテルから徒歩5分ほどの「茨城大学五浦美術文化研究所」内にある「六角堂」へ。途中には、徳川光圀水戸黄門)が杖で打つと水が湧き出したという「黄門の井戸」や、「岡倉天心の墓」があります。
 「茨城大学五浦美術文化研究所」の敷地内には、旧天心邸と天心が瞑想場所として設計したという「六角堂」こと「観瀾亭」が残されています。「六角堂」は小さな岬の突端に立つ建物で、三方の窓から大海原が望め、いかにも広大無辺なアイデアが浮かびそう。旧天心邸は、昔ながらの平屋の日本家屋。書斎と浴室は取り壊されていますが、書斎のほうは「天心記念五浦美術館」内に復元されています。


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六角堂と旧天心邸。

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六角堂付近から見た太平洋。


 受付のお姉さんに「ここから大津港へ歩いて行けますか?」と聞いたところ、「私は車で移動しているのでわかりませんが、20分くらいでしょうか」とのこと。ここで待っていてもタクシーなど来そうもないので、とりあえず歩いて行くことに。
 五浦岬公園の傍を通り、鵜島の鼻を通り過ぎたあたりで、とっくに20分突破。松ヶ崎にさしかかったあたりで、やっとタクシーが通りかかりました。「大津港まで」と言えば、「資料館まででいいの? 『よう・そろー物産館』まで?」と聞かれたので、「ええ、そうです」と答えたら、「それは、歩いて行くにはまだちょっとかかったねえ」とのこと。たしかに、まだあと20分は優にかかりそうでした orz。よかった、タクシーが通ってくれて。


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道ばたで見かけた、干物づくりの光景。
逆三角形に広がっているのがアンコウ。


 運転手さんの話によると、5年に一度の「常陸大津の御船祭」が5月2日(宵祭り)・3日(本祭り)に行なわれるそう。これは、大津町内を木造の神船(全長15メートル、幅4メートル、重さ7トン)が陸上渡御するもの。神船の下に「ソロバン」と呼ばれる100丁の木枠を敷きながら、総勢300人の男たちが引き回します。巨大な船が陸上を練り歩く勇壮な祭ということで、「奇祭」のひとつに数えられているのだとか。どおりで、道筋にしめ縄が張ってあったわけだ。
 神船はいつもは「北茨城市漁業歴史資料館よう・そろー」で展示されていますが、本日は明日の宵祭りのために港に引き出されていました。運転手さん、わざわざ車を船に近づけて、ドアを開けて見せてくれます。大きな布に覆われていて船自体は見えませんでしたが、脇に並べられた「ソロバン」は大きくて、重量がありそう。これを船の前に敷いては、船が通ったあとで拾って、前に持って行って敷いて、をくり返すのですから……。引き手もたいへん、揺らし手もたいへん(神船は船縁につかまった男たちが左右に揺らすことで進んだり、方向を変えたりします)、「ソロバン」係もたいへん。「奇祭」と呼ばれるのも納得です。


 松ヶ崎から「よう・そろー」までは運賃480円。「漁業歴史資料館」に入れば、展示の中心である神船がないので、入場料が通常300円のところ50円でした。たしかに、神船が間近で見られるというのはポイント高いですよね。
 まるで木造漁船のミニ版といった精巧さの初盆の精霊流しの船や、じゃんがら念佛踊りの衣裳など、伝統行事の紹介から、季節ごとに獲れる魚の種類、そしてアンコウについての展示まで、いろいろあっておもしろかったです。


 お昼どきになったので、隣接する「大津漁協直営 市場食堂」へ。「ここはやはり地場のものを」と、地魚寿司と生ビールの中ジョッキを注文しました。港に揚がったばかりの旬の白身魚が中心のにぎり寿司に味噌汁、香の物、フルーツつき。おいしかったんですよ、とっても。でも如何せん、1日目のけんちんそば、2日目のホテルの夕食がまだ溜まっていて、本当のおいしさを味わえてないような気がする……。食事に恵まれすぎるのも問題です。


 「よう・そろー物産展」では、にん遍゛ん(にんべん)で釜揚げシラスとチリメンジャコを試食させてもらい、チリメンジャコ200g、1000円也を購入しました。「オマケするよー!」の言葉どおり、たっぷり80gほど追加いただいて、たいへんお得な買い物に。
 次に、タクシーの運転手さんに「あそこのさつま揚げはお薦め」と教わった、大友水産食品へ。その場で練って揚げている、つくりたて! 買って、そのまま店内で食べることもできます。こちらも試食させてもらって、好きなものを800円分ほど詰めてもらいました(帰宅してからいただきましたが、すっごく美味! 舌が恋しがりそうだけど、お店、遠いわ……)。端数切り捨てで、やっぱりサービス付き! そのうえ、タクシーまで呼んでいただきました。その節はありがとうございました。


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野口雨情記念館から見た磯原の海と野口雨情の生家。


 タクシーで大津港駅に戻りました。運賃は880円。中途半端に時間が余ったので、「行けたら行こうか」と話していた、隣り駅・磯原にある「野口雨情記念館」へ行くことに。
 磯原駅から「北茨城市歴史民俗資料館・野口雨情記念館」まで、タクシーでたしか660円(だったと……)。
 野口雨情と言えば、「七つの子」「十五夜お月さん」「証城寺の狸囃子」といった誰でも知っている童謡のほか、「波浮の港」「船頭小唄」などの流行歌も手がけた、詩人であり、作詞家。北原白秋西條八十と並んで「童謡界の三大詩人」と謳われています。
 1階の「野口雨情記念館」では、雨情の生い立ちや親交のあった三木露風石川啄木、斎藤佐次郎、藤井清水、中山晋平本居長世の紹介、「青い眼の人形」や流行歌ができた背景などが展示されています。
 タクシーの運転手さんから「右側の道を入ったら、雨情の生家ですよ」と聞いていたので、ついでに立ち寄ってみました。中に入れますが、今も人が住んでいらっしゃるということと、時間が気になるので、家屋を見回しただけで出てきてしまいました。


 行きのタクシーのなかで、タクシー会社の電話番号をメモ。ケータイでタクシーを呼んで、雨情の生家前まで迎えにきてもらいました。大津港も含めて、このあたりの旅行にはタクシー会社の電話番号とケータイ、必携ですね。


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磯原駅のコンコースには、野口雨情がつくった詞の数々が……。


 これにて、全旅程終了。日立駅で無事に「スーパーひたち」に乗り込んだあとは、安心したせいか、疲れたせいか、上野駅まで爆睡してしまいました。それにしても速いな、「スーパーひたち」。
 今回の旅で、在来線を使う長距離移動はしんどいなと思いました。いや、もっと交通手段と時刻表を調べておいたら、こんなにめんどくさくなかったんだよってことなんですけどね。次はあんまり移動しない旅を目指したいと思いつつ、友人いわく「私たちの旅は、なぜか長距離を歩く羽目になる」とのことなので、また歩くのかなあ。ま、それもよし!


茨城大学五浦美術文化研究所」サイト
http://www.ibaraki.ac.jp/izura/

北茨城市漁業歴史資料館よう・そろー」サイト
http://otsuko-yo-soro.jp/

大津町」サイト
http://www.geocities.jp/otutyou/top.htm

北茨城市歴史民俗資料館」サイト
http://www.ujokinenkan.jp/