Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

御坂峠・身延山日帰り旅行 その2 涅槃へ向かう急階段

 昨日の小旅行では、中央自動車道の釈迦堂下りPAにある釈迦堂遺跡博物館に立ち寄り、御坂峠から河口湖経由で鳴沢氷穴本栖湖、そして国道300号(通称「本栖みち」)を辿って南巨摩郡身延町まで行きました。私は知らなかったのですが、ここには日蓮宗の総本山「妙法華院身延山久遠寺(みょうほっけいん みのぶさん くおんじ)」があります。
 久遠寺は、1281(弘安4)年、日蓮によって開基されました。時代は鎌倉時代中期、二度目の元寇弘安の役)があった年に当たります。すなわち、たいへん由緒のあるお寺なんですね。昨秋に柴又帝釈天こと「経栄山題経寺」に行ったことといい、なんだか日蓮宗づいています。



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門前町から三門を見る。
(写真は画像クリックで少し大きくなります)


 鎌倉時代の寺院は、年を経た木の柱や梁の茶色と白壁のコントラストの美しさや、重厚精緻な木組みから感じる質実剛健さが好きなんですが……好きなんですが、今回、テンションが低いのは、目の前に立ちはだかったすさまじい階段のせいです。
 「三門」(「山門」ではなく、涅槃の本堂に対して、三解脱門にたとえて「三門」というらしい)をくぐって本堂に至るまでに、「菩提梯(ぼだいてい)」という287段の急な階段があるんですね。「ここを登れば悟りの境界の涅槃に到達する階梯」だそうですが、うん、悟りの境地というより、そのままニルヴァーナに直行しそうな気がする orz。
 20段ほど上がってみましたが、一段一段の高さがけっこうあって、とてもてっぺんまで登りきれる気がしない。私、(こんなときだけ)クリスチャンなので、涅槃の境地に行き着けなくていいです。登るなら、断然「ヤコブの階梯」のほうがいい!
 そんなわけで、脇を通る「男坂」を登りました(帰りは「男坂」より勾配が緩い「女坂」を下りました。ちゃんと「菩提梯」を上り下りできない人のことを考えてあるのが、親切というか、なんというか)。


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見た瞬間、気が遠くなった「菩提梯」。


 山道を辿ること、約15分。伽藍に辿り着いて、まずは本堂の裏手に回り込み、身延山山頂にある「奥之院 思親閣」に行く「身延山ロープウェイ」の駅へ急ぎます。3分前に駆け込んで、16:00のロープウェイ最終便になんとか間に合いました。歩けば、片道5km、登りで約2時間30分かかる行程を、たった7分で結びます。山麓の「久遠寺駅」から山頂の「奥之院駅」との標高差は763m。日本のロープウェイのなかで6番目だそうです。途中、気圧差で耳に違和感が……。

 1,153mの身延山山頂からは、晴れた日には、南側に富士山の頭頂部と天子山塊、北側に七面山から早川渓谷、南アルプス連峰、そして甲府盆地、奥秩父山系までが望めるそうですが……。雲があるうえに、日も落ちかけていて、山々に囲まれているのはわかるけれど、なにがなにやら。
 下りロープウェイの最終便が16:40なので、「思親閣」に参って、展望台をさくさく散策して、再び山麓へ。


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天子山塊(天守山地)から頭を覗かせる富士山。
右の写真は北側展望台から見た七面山あたり(たぶん)。


 ようやく本堂をはじめとする伽藍を回りました。拝観も17:00までのようで、本堂はそろそろ戸締まりが始まり、鐘楼では夕刻の梵鐘が鳴らされていました。作務衣を着たお坊さんが、全身を地面すれすれに倒しながら鐘木を引いて、思いきり打ちつけるさまは迫力がありました。
 慌ただしいお参りとなりましたが、ここはシダレザクラで有名なんですね。たしかに伽藍には古木然とした味わいのある葉桜が枝を垂らしていました。それ以上に、天を突く杉林に、戸隠神社参道の杉林の清浄に似た空気を感じました。


 それにしても、京都の高尾山の神護寺といい、この久遠寺といい、山岳寺院の階段はなぜこんなにも人外魔境なんだ!? 「天狗用ですか?」と思うほど、人間の使用には適していないことですよ……。


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伽藍にある「仏殿」と「鐘楼」。今まさに鐘が撞かれる。


身延山久遠寺」オフィシャルサイト
http://www.kuonji.jp/