Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

私のなかの三大アニメーターのひとり「追悼……金田伊功」

 7月21日にアニメーターの金田伊功(かなだ・よしのり)が逝去されたのですね。57歳とは……まだお若いのに。

 金田氏のお名前を聞くと、すぐに思い出すのは「お呼びとあらば、即参上!」の『銀河旋風ブライガー』と「こはく色の男の夢、どこに」の『機甲創世記モスピーダ』のオープニングアニメーション。どちらもスピーディでカッコよくて、画面にものすごい空間の広がりを感じました。

 『さるとびエッちゃん』や『魔法使いチャッピー』から『キューティーハニー』『ゲッターロボ』『ゲッターロボG』『宇宙戦艦ヤマト』『一休さん』『大空魔竜ガイキング』『くじらのホセフィーナ』『円卓の騎士物語 燃えろアーサー』などなど、子どものころに観ていたアニメのほとんどに関わられていたと知ったのは、ずいぶん後になってから。高校生になって、アニメ雑誌を買うようになってからです。
 「アニメージュ」だったか、当時、金田氏がマンガ『バース』を連載されていた「リュウ」だったか忘れましたが、たしかOVA『バース』(1984年)に関連して「金田伊功特集」が組まれ、その記事を読んで「あれもこれもそれも金田氏が関わられていたの!?」って驚いたんですよね。

 特にオープニングが印象的だった『惑星ロボ ダンガードA』『無敵鋼人ダイターン3』『女王陛下のプティアンジェ』、「誰(た)がために戦う」の1979年版『サイボーグ009』、そして先に挙げた2作品の、まさにそのオープニングアニメーションが金田氏の手によるものと知って、私のなかで安彦良和天野喜孝に並ぶ三大アニメーターのひとりになったのでした。


 爆発のとき、またメカが空に向けて飛び立つとき、丸い光がパパッと入るのが金田アニメの特徴ですが、あの「金田びかり」が実はいろいろな大きさのセロハンテープの内側、外側をなぞってできていた、とか(このあたり、なにぶん昔に読んだので定かではないですが)。瞬時に画面の前へ奥へとメカや人物が動く、独特のパース割りを「金田パース」と呼ぶ、とか。アニメでもわかりますが、実際の金田氏の原画を見ると、人体を針金人形に見立てたような大胆なポージングなのに、ちゃんとキャラクターらしさが出ている、とか。
 特に『銀河旋風ブライガー』のオープニングの4人が画面に登場するところのコンテ画は、すごくデフォルメされているのにキッドはキッドらしく(声は塩沢兼人!)、お町はお町らしく、ボゥイーはボゥイーらしく……。そしてアイザックがマントのエンブレムを見せ、電子鞭を振るいながら画面を横切り、バシッと4人が決まるところまで、もうもう「かっこいい!」のひと言です。

 スタジオジブリの『風の谷のナウシカ』から『もののけ姫』まで、またアニメ映画『メトロポリス』などに関わられているのは知っていましたが、『ふしぎ遊戯』(1995年)のオープニングアニメーションにお名前を見て、「ええっ!?」とか思わず声を出しちゃったりして……。たぶん美朱のバックで朱雀七星士がアクションするシーンが金田氏の担当部分ではないかな、とか。


 金田氏のオープニングアクトやアニメーション技術に影響されたアニメーターは多かったわけですが、なかでも私が金田氏っぽさを感じたのは、タツノコプロの『赤い光弾ジリオン』のオープニングアニメーションでした。キャラクターデザインは後藤隆幸。アニメが劇画の線描から解放され、主線が整理されたスタイリッシュな「アニメ絵」になっていく先駆けとなった作品のひとつだと思います。そのオープニングに金田テイストを感じて、「ああ、次世代に受け継がれているのだなあ」なんて思ったことなど、つらつら思い出します。

 日本のアニメーションにスピードと奥行きを与えた人でした。心よりご冥福をお祈りいたします。