Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

紅葉の昇仙峡で景観と馬車と水晶とワインを堪能

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秋味たっぷり、奇岩・奇石の昇仙峡!
(写真は画像クリックで大きくなります)


 パソコンがないので、なんでもかんでも手書きの作業。どうせソフィアに入力し直さなければならないと思えば、「ああ、二度手間……」。
 そんなうんざり気分の日曜日の午前2時にふと、「そうだ、昇仙峡に行こう!」と思い立ちました。早速ケータイからハイウェイバスのサイトにアクセス。甲府行きの高速バスをさくさく予約。……だぁかぁらぁ、遊びに行くときのこの即断即決即実行ぶりったらなんなの!?


 新宿駅西口バスターミナルを8:30に出発。ステキに中央高速道の渋滞もなく、予定どおり10:40に甲府駅に到着しました。片道1950円、往復で3900円。
 甲府駅バスターミナルの3番から11:00発の路線バスに乗り、「天神森」までは約30分、運賃570円。「昇仙峡口」というバス停がありますが、そこを乗り越して「天神森」で降りたほうが渓谷道路へのアクセスはいいです。長潭(ながとろ)橋から渓谷を見たいという場合は「昇仙峡口」で下車を。

 昇仙峡、正しくは「御岳昇仙峡(みたけしょうせんきょう)」。秩父多摩甲斐国立公園を代表する景勝地です。奥秩父の山々に深い谷を刻みながら流れきた荒川は、長い歳月をかけて花崗岩を削り、白くなめらかにそびえ立つ断崖と奇妙な形をした巨岩・巨石をつくりあげました。仙娥滝を迸り落ち、奇岩・奇石の間をあるところでは白い飛沫を上げながら、あるところではとろとろとぬめりながら、緩急をつけて滑っていく水と、岩肌にうっすら積もった土の上に群生する松、ツツジ、モミジが、四季折々に風情ある渓谷美を見せる、東京から気軽に行ける観光ポイントのひとつです。


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昇仙峡名物のトテ馬車。馬力のすごさを見せつけてくれました。


 天神森の渓谷道路入口から仙娥滝までは、川を遡る約4kmの道のり。仙娥滝の上にバス停があるのですが、時間が合わず徒歩で下るハメになった場合、往復8km……。あんまり疲れたくなかったのと、一度乗ってみたいと思っていたので、天神森から能泉まで約2kmの区間を往復している「トテ馬車」に乗ることにしました。
 大人12人と馬方が乗る馬車を引くのは、体重800kgはあるという大型馬。競馬用のサラブレッドで500kg前後ですから、近くで見るとがっしりとした体躯に圧倒されます。私が乗った馬車の馬は6歳(人間で言うと22歳くらい)のきれいな連銭葦毛でした。挽曳用のペルシュロンかなあ。
 約40分、料金は大人1000円。馬方のおじさんのガイドを聞きながら、ポクポクのんびりと眺めを楽しむ旅もいいものです。服がちょっと馬くさくなりますけどね。

 途中、大砲岩、オットセイ岩、トーフ岩、猿岩、ラクダ石、富士石、松茸石、はまぐり石、ねこ石などなど、言われてみればそれっぽい奇岩・奇石が次々に姿を現します。

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紅葉がみごとな天鼓林。名前の由来は、地面を踏むと
鼓を打つような音がすることから。


 能泉で馬車を降りてしばらく歩けば、やがて夢の松島(川のなかに巨岩がごろごろ積み重なっている)に到着します。そこから振り仰げば、昇仙峡の主峰である覚円峰が! この風景は昇仙峡の写真に必ず登場しますね。
 雲飛ぶや 天馳使が種置ける 覚圓峰の岩肩の松   伊藤左千夫

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奥の山頂が丸くなっている山が覚円峰。


 巨石がつくるトンネル・石門をくぐり、昇仙橋を渡れば、すぐ仙娥滝です。高さ約30mの美しい滝は、環境省認定「平成の名水百選」のひとつ。春は水量が増して、より迫力満点なのだそうです(ちょうど観光バスのガイドさんが説明しているところに行き会ったりして)。

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仙娥滝は地殻の断層によってできた滝。


 仙娥滝を上れば、そこは水晶やワインの店、食事処が軒を連ねる、ちょっとした繁華街(というほどでもないですが、山から街なかに出てきたような)。そこから5分もかからず、昇仙峡ロープウェイの乗り場に到着します。
 ロープウェイ(大人1000円)に乗ってパノラマ台へ。標高1058mからは、日本の高峰第1位の富士山、第2位の北岳、第4位の間ノ岳が一望できます。そう、やっぱり富士山、なんですよね(笑)。ここから見る姿も美しかったですv

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 パノラマ台を散策したのち、再び下って夫婦木姫の宮へ参詣。そのあと、昇仙峡名物「御岳そば」をいただきました。かなり寒かったので温そばにしたのですが、御岳そばの特徴は、わさびではなく、ねずみ大根の辛味を薬味にすることだそうで……。ざるそばにすればよかった orz。おそば自体はクセがなくて、つるつるっとノドごしよろしく。と言うか、おなかペコペコだったので、ゆっくり味わうひまもなく食べちゃいました(笑)。


 ところで、私、これまで山梨県が水晶の産地だってこと、存じませんでした。富士河口湖に国内唯一の宝石専門博物館として「山梨宝石博物館」が開館したのは知っていましたが、なぜそれが山梨県に建てられたのかというところまで深く考えてなかったんですね。
 昇仙峡からさらに荒川を遡ると、その名も「水晶峠」があります。この峠を含む金峰山一帯は日本有数の水晶の産地だったそう。だからでしょう。昇仙峡には水晶のお店がいっぱい! 加工即売と言わんばかりのプレハブ工房からおしゃれな宝飾店までさまざまな構えの店舗が軒を連ね、数珠やアクセサリーからでっかい天然石の置物まで扱っています。
 昇仙峡は“気”が強い場所、すなわちパワースポットなのだとか。そこで水晶などを購ったからどうなるのかな、と好奇心で店々を覗いていたら、工房風のお店でぴたりと目が止まってしまいました。そのペンダントトップは、ティアドロップ型の水晶の表面に細かいチェッカーカットが施されているのですが、全体を眺めれば、ねじれた曲線が取り巻いて見えるというもの。石モノにあまり興味のない私に、それは不思議な輝きをもって映りました。
 ひとりで店を切り盛りしているらしいお兄さんが「実際に着けてみると、見栄えがしますよ。これからの時期でしたら、タートルネックのセーターに合わせるとか、いいと思いますよ」と声をかけてくれたので、「まさに黒のタートルネックのセーターに合わせられるものを探していたんです」と答えたら、「ああ、そうでしたか!」と意気投合(笑)。「チェーンをサービスしているのですが、でしたら長めのにしておきますね」と、まさしくその長さのものが欲しかったというチェーンをつけてくれました。
 「これ、僕が穴を開けて金具をつけたんですよ」「水晶を損なわないように、でもしっかりと取り付けるというのもたいへんそうですね。それにしても、これ、きれいなカットですよね」「でも、水晶はどんなにカットしてもダイヤモンドのようなファイアを生まないので、宝石になれないんです」等々と会話を交わして、お店を出ました。
 別れ際に「歩いていて、パッと目についたんです。気に入ったものを買わせていただいて、ありがとうございました」と言うと、お兄さん、「こちらこそありがとうございました。その水晶があなたに幸運をもたらしますように」と言ってくださいました。気持ちのいい買い物ができたことが、すでに幸運のような気がします。

 そのあとも、ワインを試飲させてもらって「勝沼Vinルージュ」と「ブラン」を購入したり、そうしたら甘めの白ワイン「グランデール」をオマケにいただいてしまって、どうやって持って帰ろうかと思案したり、なんだかんだと買い物も楽しんでしまいました。


 甲府駅に戻ったら、17:30。往復で予約した高速バスの復便は19:00。甲府駅で時間をつぶすよりは、早く帰ってゆっくりしようと思い、バスターミナルの窓口で17:45の便に変えてもらいました。そのときに「中央道が渋滞しているので、早めにご乗車されたほうがいいでしょう」と言われたのですが、はい、そのとおりでした。新宿に帰着したのは21:00。19:00発のバスの新宿着予定が21:10でしたから、結局のところ変わらなかったよ、という。しかし19:00の便に乗っていたら、帰宅は何時になったことでしょう(案外、渋滞解消してたりしてな)。
 バスのなかでは爆睡していたので渋滞も気になりませんでしたが。やっぱり中央道、油断なりません。
 

 紅葉の季節の天気のいい日曜日とあってかなりの人出でしたが、あちらこちらに行列ができるほどでもなく。秋景色と流水渓谷の清々しい空気を満喫した一日でした。


「納屋猫の旅・たび・写真」に写真をUPしました。
http://nayanekoph.exblog.jp/13023857/

「昇仙峡観光協会」サイト
http://www.shosenkyo-kankoukyokai.com/b/index.html