Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

2010年の初詣は琵琶湖を渡って竹生島へ!

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。


 毎年、正月2日か3日には高校からの旧友に会って、地元・明石や神戸で映画を観たり、食事をしたり、呑んだりしているのですが、「2010年の正月はちょっと遠出してみようか」という話になりました。
 行き先は、「月も日も 波間に浮かぶ 竹生島 船に宝を 積む心地して」という、なんともめでたい御詠歌をもつ「西国三十三箇所音霊場」の第30番札所「巌金山 宝厳寺(がんこんさん ほうごんじ)」、および「都久夫須麻神社(つくぶすまじんじゃ)」──すなわち琵琶湖に浮かぶ竹生島です。

 琵琶湖岸の各港と竹生島を結ぶ琵琶湖汽船は、正月三が日、特別ダイヤで運航します。湖西の今津港から往復するか、湖東の長浜港から往復するかの選択で、長浜港往復に決めたのは、「長濱浪漫ビール」に寄りたかったからです。


 さて、JR明石駅で待ち合わせ、無事、8時19分の長浜行き新快速に乗り込んだ私たち。大晦日から元日まで吹き荒れていた強風も止み、日差しも暖かく感じて、「いい旅行日和」などと思っていたのは、近江八幡を過ぎるまででした。彦根に近づくに連れて、あたりは黒と白の雪景色に……。雪の粒が車窓を叩きだします。
 明石から乗車すること約2時間20分。長浜駅に着けば、風に煽られた雪ならぬ大粒の雨が傘を叩きつける悪天候。それでも、琵琶湖汽船は滅多なことで運休しないと聞いていたので、溶けかけた雪がまだらな模様を描くアスファルトの道を辿って長浜港へ歩きました。
 汽船の乗り場では、私たちの姿を見とがめたスタッフの方がわざわざ入り口まで出てきて、「波が高くて竹生島での接岸が難しいので、11時30分の便は出るかどうかわかりません」と教えてくれました。時刻は10時50分。「11時20分ごろに伺えば、出るかどうかわるでしょうか」と言えば、「その頃なら、たぶんわかるでしょう。よければ、電話で問い合わせてください」と電話番号が書かれたチラシを渡されました。
 とりあえず汽船乗り場のすぐ傍にある北ビワコホテルグラツィエのカフェに落ち着き、ようすを見ることに。
 長浜観光も目的のひとつですが、なんと言ってもメインイベントは竹生島初詣です。いちだんと強くなったように感じる雨足に、「これは二泊三日の河口湖旅行で富士山がまったく見えなかった悪夢の再来か!?」と、気分はダダ下がり。常々喫茶店に入っても甘いものはいただかない左党自慢の私たちが、ドリンクにケーキ2個付きという、ボリュームたっぷりのケーキセットをオーダーしたあたりに、落ち込みっぷりが表われているような……。
 私が注文したのは、コーヒーにフルーツ満載のショートケーキと木の実のタルト。タルト生地はなんとスイートポテトでした。それでもぺろっといただけるくらいに、甘さ控えめで美味しかったですv 1,200円也。

 11時20分に電話を入れれば、条件付きで出航するとのこと。その条件とは、波が高くて竹生島に接岸できない場合は引き返すというもの。それでも、ここで諦めるよりは断然マシです。慌てて乗り場に戻り、乗船券を購入しました。往復2,980円。三が日の「お正月クルーズ」には、宝厳寺で「破魔矢」がいただける引換券がつきますv

 長浜港から竹生島までは約30分。高波に煽られた船は、飛び魚のごとく跳ねながら湖面を蹴立てて進み、無事に接岸しました。大揺れの船を縄で引き寄せてすばやくがっちり桟橋に繋いでしまう技は、さすがプロ!


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船着場から見上げた宝厳寺
(写真は画像クリックで大きくなります)


 竹生島は琵琶湖でも北に位置しますから、やはり雪に覆われていました。
 花崗岩からなる周囲約2kmの島は、宝厳寺と都久夫須麻神社(竹生島神社)を擁する南側のごく一部に人の気配があるのみで、あとは針葉樹が連なる森。寺社関係者や土産店の人たちは島外から通っているという、無人島です。
 急勾配の165段の階段を息を切らせながら上がると、宝厳寺の本堂に着きます。本尊は弁才天。本堂から唐門を経た観音堂の本尊は千手観音。開基は奈良時代の僧侶・行基とされる、たいへん古いお寺です。
 宝厳寺観音堂と都久夫須麻神社が渡り廊下(舟廊下)でつながっているところ、神仏一体の聖地であったことがうかがえます。
 「神を斎(いつ)く島」「神の棲む島」と言われる竹生島については、下記サイトなどをご覧ください。


 希少な安土桃山時代の建造物である唐門と都久夫須麻神社本殿は国宝。特に都久夫須麻神社本殿は、伏見城の遺構と伝えられますから一見二見の価値ありです。観音堂豊臣秀吉の御座船「日本丸」の船櫓を利用したという舟廊下は、共に重要文化財
 また、宝物殿にも数々の重要文化財が展示されています。初めて訪れたとき、感動を覚えた弘法大師空海)直筆の「御請来目録表」は、このたびも見たかったのですが、年末年始、宝物殿は閉まっていたのでした。がっくり。

 宝厳寺本堂でお神酒をいただき、姫だるまに今年の願い事を封じて奉納し、破魔矢を授かり、都久夫須麻神社で巫女さんから生姜入り熱々の甘酒を頂戴し、かわらけを投げて願い事の叶うやを占い……(まったく見当違いの方向へ飛んでいきました orz)。乗船時間までの約80分をメいっぱい堪能しました。


 能の演目のひとつ、その名も『竹生島』には、寺社が女人禁制だった時代にも女神として女性を隔てなかった弁才天と、湖に棲む龍神が登場します。あるときは天女として衆生を救い、あるときは龍神として国土を鎮める。それは、弁才天という神格がもつ複雑さを表わしているようでもあります。
 弁才天はもともとヒンドゥー教の女神サラスヴァティーが仏教に取り込まれ、仏教の守護神である天部の一となったもの。また、日本では神道にも取り込まれ、七福神の一柱となりました。
 サラスヴァティーは「水(湖)を持つもの」という意味であり、古代インドでは河川の化身とされていました。そのため、日本でも弁才天は水のある地に祀られているのが基本です。
 宝厳寺の本尊は弁才天。さて、都久夫須麻神社のご祭神はと言うと、海上・陸上の道を開くという、アマテラスとスサノオの誓約(うけい)から生まれた市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)──仏教と習合した、その別名を弁才天、そして七福神絵などの弁才天の頭上に人頭蛇身の姿で描かれる豊穣の神・宇賀福神(うがふくじん)、土着神(産土神)である浅井比売命(あざいひめのみこと)、龍神の4柱。
 竹生島弁才天信仰においては、弁才天の仏教・神道に跨る多面的な神格ひとつひとつを神仏として祀っており、謡曲竹生島』はそのさまを巧みに表現し、めでたい一曲に仕上げていると、その妙に感嘆します。


 「緑樹影沈んで、魚木に登る氣色あり。月海上に浮かんでは、兎も波を奔るか。面白の島の景色や」(謡曲竹生島』)


 長浜に戻ったのちは、長浜城歴史博物館は年末年始休館、長濱浪漫ビールも年末年始休業と、目的の場所にことごとく振られました orz。せっかくその前まで行ったのに、休みやなんていけずやわ。
 でも、黒壁スクエアの「旬彩dining Yoshino」で冷えた身体を燗酒とのっぺいうどんセットであっためましたことよ。のっぺいうどん、とろみのあるお出汁に生姜のアクセントが利いていて、たいへんに美味! こちら、併設のカフェのコーヒーも香りよく、コクもほどよく、お薦めです。

 夕食も長浜でと思ったのですが、正月休みの店舗が多いうえに、営業しているところも17時前後に次々シャッターを下ろして店じまい。気がつけば、あたりは真っ暗。仕方がないので、夕食は明石に戻って、駅前の呑み屋で……って、いつもと変わらんやん!
 ま、肝心要の竹生島初詣は果たしたぞということで、今年はおみくじどおり「吉」な感じです。


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暮れなずむ長浜・黒壁スクエアの一角。


<追記>
「納屋猫の旅・たび・写真」に竹生島・長浜の写真をUPしました。
TOP http://nayanekoph.exblog.jp/
竹生島 http://nayanekoph.exblog.jp/13424464/
長浜 http://nayanekoph.exblog.jp/13428095/


竹生島宝厳寺」サイト
http://www.chikubushima.jp/

竹生島神社」サイト
http://www.chikubusima.or.jp/

長浜観光案内「竹生島」ページ
http://www.nagahamashi.org/chikubushima/

琵琶湖汽船」公式ホームページ
http://www.biwakokisen.co.jp/

「長濱浪漫ビール」サイト
http://www.romanbeer.com/

「旬彩dining Yoshino」サイト
http://www.dining-yoshino.com/

「the能ドットコム」サイト
http://www.the-noh.com/jp/index.html