Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

この緻密さは快感だ! 映画『キサラギ』は、観ないともったいない!!

 観たかった映画がテレビ東京で放送されるというので、「ながら」ではなくきっちり観ようとテレビの前に座りました。昨年6月に劇場公開された『キサラギ』です。


 歌も踊りもイマイチなD級アイドル・如月ミキが自殺した。一周忌の今日、ビルの一室に5人の男たちが集う。彼らはファンサイトを通じて知り合ったミキのファンで、お互いに知るのはハンドルネームのみ。顔を合わせるのは初めてだった。当のファンサイトの管理人で、この集会の発起人である「家元」、セリフがいちいち『踊る大捜査線』の青島刑事っぽい「オダ・ユージ」、オーバーアクションがハデな印象の「スネーク」、ひとりだけ喪服を着て来ずに落ち込む“KY(空気読めない)”な「安男」、そしてイチゴのついたカチューシャを頭にはめた「イチゴ娘。」。「家元」のミキコレクション自慢を皮切りに、彼らは自分がどれほどディープなミキファンであるかを主張し、競い始める。
 一年前、ミキはマネージャーのケータイの留守録に「もう疲れた。ありがとう」とメッセージを残し、自室マンションに油をまいて焼身自殺した。しかし「オダ・ユージ」は言う、「彼女は殺されたのだ」と。突然の告発に驚く一同。彼が犯人として指したのは、「イチゴ娘。」だった。


 ひとつの部屋、5人の男たちだけで展開されるミステリー。要所要所に回想シーンを挟みながらも、舞台はビルの一室から変わらず、5人のセリフの応酬のみで物語が進んで行く。退屈に陥りそうだが、どうしてどうして。最後まで息づまる緊迫感が、ドキドキの興奮が、止まらない!
 だんだん明らかになってくる、ミキを死に至らしめた事情。どんどん暴かれていく、5人の“正体”。最初の何気ないファン自慢が、うっかり口にした言葉が、あとからあとから真実を組み立てる部品となっていく。それは、白黒入り乱れたオセロの盤上を、すべて黒に返していく快感に似ている。
 そして、導きだされた真相は……。


 緻密かつ事の経緯がわかりやすい脚本、シリアスとコメディをほどよく混ぜて飽きさせない演出、そしてセリフと演技でぐぐっと視聴者を惹きつける俳優陣……すべてがマニフィック!
 ミニプラネタリウムが映し出す星空のシーンはベタだけど……ベタなんだけど、泣ける。エンディングの、喪服の5人がミキのビデオに合わせて踊る、いかにもアイドルヲタっぽいダンスもイカしてる! そしてエンドロールが終わっても、やらかしてくれる!! 108分、スミからスミまでみっしり詰まってます。
 家元役は小栗旬、オダ・ユージ役はユースケ・サンタマリア、スネーク役は小出恵介、安男役は塚地武雅、イチゴ娘。役は香川照之。監督は佐藤祐市、原作・脚本は『ALWAYS 三丁目の夕日』『相棒』(season4以降)の古沢良太

 ミステリー好きは、観なきゃ、損だ!


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