Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

水無月の夏越の祓する人は……

「風そよぐ ならの小川の夕ぐれは みそぎぞ夏のしるしなりける」(藤原家隆


 4月の茨城旅行で水戸に行ったおりに水戸東照宮にお詣りしたことは、この「日記」にも書きましたとおり。そのとき、本殿に芳名帳が置かれていたので、参拝の記念にと住所と氏名を書きました。
 それっきり芳名帳のことなど忘れていたのですが、6月の初旬だったか、水戸東照宮社務所から封書が届きました。「そう言えば、おりおりに案内を送るとか書いてあったっけ。でも神社からの案内ってなに?」と思いながら開けてみたら、「夏越(なごし)の大祓式(おおはらいしき)の御案内」の書状と半紙でつくられた人型の「人形代(ひとがたしろ)」が5枚ほど入っていました。……ああ、なるほど。


 「大祓(おおはらい)」とは、毎年6月と12月の晦日みそか)に行なわれる、神社の年中行事のひとつです。1年を2期に分け、半年の間に犯した罪や身についた穢れを祓う除災の祭祀で、新暦6月30日に行なう大祓を「夏越の祓(なごしのはらえ/はらい)」、12月31日に行なう大祓を「年越の祓(としこしのはらえ/はらい)」と言います。
 710(和銅3)年、刑部親王藤原不比等らによって選定された「大宝律令」で正式な宮中の年中行事に定められた由緒ある神事。市井では一度廃れましたが、明治政府が発した神社の祭祀の旧儀再興の太政官布告より以降、現在も全国各地の神社で執り行なわれています。
 7月1日から31日まで京都を祭一色に変える「祇園祭」も、疫病・災厄の除去を祈願する「夏越の祓」。31日の八坂神社境内「疫神社」における「夏越祭」で幕を閉じます。


 この大祓に欠かせないのが、「人形代」と「茅の輪(ちのわ)」。「人形代」は、それで身体を撫でたあと、息を吹きかけることで、自分の罪や穢れを移し、川や海に流して祓うもの。「茅の輪」は、茅草で作られた輪の中をくぐることで穢れを祓うもの。この「茅の輪潜り(ちのわくぐり)」は、茅の輪を中心に左回り、右回り、左回りと、8の字を描くように3回くぐります。

 去年は貴船神社で「茅之輪守」(初穂料500円)をいただいたのですが、今年は6月晦日の「夏越の祓」どころか、7・8月も神社に参拝できそうもない。でもいろいろあったので、一度お祓いしておきたい……。御案内いただいたのを幸い、同封されていた人形代に名前を書き、身体を撫で、息を吹きかけて返送しました。同時に人形代1体につき500円以上との初穂料も納めました。郵便局でATM振込ですよ。文明の発達は、家にいながらにして神事参加を可能にします(笑)。


 本日、社務所から再び封書が届きました。大祓式が滞りなく執り行われたことの報告ときっちりとした「東照宮大祓祈祷大麻」の神札が同封されていました。思った以上に行き届いた対応をいただいたことにびっくり。そう言えば、お詣りした際も、境内でとても気持ちのいい挨拶をいただいたのでした。
 そんなわけで、在宅「夏越の祓」完了。気持ち新たに、下半期に突入です。……修羅場真っ最中なんですけどね orz。


水無月(みなづき)の夏越の祓(はらい)する人は 千歳(ちとせ)の命 延(の)ぶといふなり」(『拾遺集』よみ人しらず)。