幻の連載!? 第2回「少女マンガ」メモリアルコレクション<1>
約3年前に書いたテキストです。今読みなおすと、「中高年層向け」ということをすごく意識していたんだなあと思います。文章が固い!
直したいところもありますが、あえて掲載時のままで。今、書き直したらどんなものになるのか、興味がなくもないのですが……変わらなかったりして。
「少女マンガ」メモリアルコレクション<1>『ベルサイユのばら』
掲載日:2006年12月25日 テーマ:読書、マンガ
今年、『ベルサイユのばら<完全版>』が刊行されました
さて、“花の24年組”からまずは池田理代子の『ベルサイユのばら』をご紹介しましょう。マンガを読まれたことはなくても、書名に聞き覚えのある方は多いのでは。この作品は1972年から73年にかけて「週刊マーガレット」(集英社)に連載されました。
74年に同タイトルの歌劇が宝塚歌劇団にて初演され、大ヒット。以来、たびたび再演されては人気を博しています。またテレビアニメから劇場版アニメになり、カトリオーナ・マッコールの主演で実写映画化もされました。少女マンガの歴史における金字塔的作品で、2005年12月〜2006年6月にかけて集英社から『完全版 ベルサイユのばら』全9巻が刊行。また「朝日新聞土曜版be」にて、ベルばらキャラが活躍する4コママンガ『ベルばらKids』が連載中です。
18世紀、フランス革命前夜に花開いた運命の恋
物語の舞台は18世紀のフランス。ジャルジェ将軍は、家督を継がせるために、生まれたばかりの末娘を男として育てることを決意します。オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェと名付けられた子どもは、父から剣術を学び、若くして近衛連隊長(准将)の地位に就きます。美しい王太子妃マリー・アントワネットの寵愛を得たオスカルは、世間知らずで浪費家の王太子妃に「よき王族」たるよう忠告しますが、「自分が幸せであれば国民も幸せである」と考える彼女には届きません。先王の死により、王妃となったマリー・アントワネットは自らの贅沢に税金を湯水のごとく使い、ついに国庫を破綻させます。そんな王妃を心配し、苦悩するオスカルは、王妃とも親しい、大人の魅力のスウェーデン貴族フェルゼンに思慕を抱くようになります。しかし彼の想い人が王妃だと知り、身を引くのでした。
国民の窮乏を目の当たりにし、またロベスピエールら若き革命家の熱情に接したオスカルは、自らが属する貴族社会に疑問をもつようになります。揺れ動くオスカルの心を受けとめたのは、幼いころから共に育った従者のアンドレ。二人の間に芽生えた恋は、しかしフランス革命という嵐に翻弄される運命にありました。
シュテファン・ツヴァイク『マリー・アントワネット』もオススメ
『ベルサイユのばら』は、オーストリアの伝記小説家シュテファン・ツヴァイクの『マリー・アントワネット』から着想を得ているとか。小説はマリー・アントワネットを主人公に、フランス王家に嫁いできたまだ少女の彼女が、宮廷内の権力争いや陰謀に巻き込まれながら王妃となり、やがて革命に追われていく半生を描いています。まるで王妃の傍にいて書いたがごとくのリアルな描写と、革命前後の王妃の劇的な変化がドラマチックで、読みはじめたらぐいぐいと惹きつけられます。こちらもオススメ。
1789年、フランス革命はバスティーユ監獄襲撃から始まりました。しかし現在、パリにバスティーユ監獄はありません。バスティーユ広場にその名を残すのみです。それでも探せば、メトロ・バスティーユ駅の5番線Bobigny行きホームに監獄の壁の遺構を見ることができますし、アンリ4世大通りの舗石は監獄の壁の跡に沿って敷かれています。パリに行かれたら、バスティーユ広場のカフェでカルヴァドスのグラスを傾けながら、クライマックスシーンなど思い起こされてはいかがでしょう。パリの町が、その歴史がぐっと身近に感じられることでしょう。
「池田理代子オフィシャルサイト」
http://www.ikeda-riyoko-pro.com/
ちょうど2007年1月にソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』が日本で封切られるということで、ナイスタイミングとこの作品を選びました。
『ベルばら』と言えば、大学の部室を思い出します。高校までマンガを禁止されていたので、同世代で知ってて当然とされる作品でも未読のものが多かったんですよね。Cartoon同好会の部室に全巻揃っていたので、昼休みとか休講のときとかに部室に行っては読みふけっていました。
当時は、こんなふうに『ベルばら』について原稿を書くことがあろうとは思いもしませんでした。こういう巡り合わせもあるのかと思えば、おもしろいですね。
映画『マリー・アントワネット』サイト
http://www.ma-movie.jp/
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