Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

アジサイ・ブルーと『天を見つめて地の底で』

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 自宅近くの遊歩道に咲いている紫陽花が異様に青い……。ガクアジサイは「エゾ青ガクアジサイ」だよね。セルリアンブルーのほうは「ヒメアジサイ」? 植木職人さんに青色が好きな人がいると見た。
 紫色の花はいろいろありますが、青色の花ってちょっとないですもんね。


 こだわりついでに「シチダンカ(七段花)」も植えてほしかった。シーボルトが『日本植物誌』で紹介したにも関わらず、日本人は誰もその実物を見たことがなかったという「幻のアジサイ」。約130年後の1959(昭和34)年、神戸の六甲山でその存在が確認されたのでした。
 これもけっこう濃い紫や青色に咲きますよ。いかがですか?



 帰りがけに書店に寄ったら、マンガ雑誌コーナーに平積みにされていた雑誌にとても懐かしいキャラクターを発見! 高橋美由紀の『天を見つめて地の底で』の聖さんではないですか!! 表紙の煽り文句は「あの伝説の作品が、新シリーズで奇跡の復活!」。ええええーっ!? というわけで、「ミステリーボニータ 7月号」(秋田書店)を持って即行レジへ。
 コミック最終巻の18巻が出たのが2000(平成12)年だから、もう10年も前ですか。『天・地』は相思相愛の天使と人間が、その想いの深さゆえにすれ違いにすれ違いを重ねる物語です。


 天使は、はるか昔、親友のルシフェルに唆され、神に弓を引き、天界から堕とされた堕天使。その後、魔王となったルシフェルの元から逃れた天使は、いつか許されて「天の扉」が開き、天界へ帰ることを唯一の望みとして、人間界を放浪します。人間の歴史に寄り添うような悠久の旅のなか、知り合った人間のひとりから「本條聖」と名付けられ、以後、そう名乗るように。
 ルシフェルは、自分に匹敵する力をもつ聖が敵となるのを恐れ(聖への複雑な思いもあり)、人間界に魔物を送り込んで地底(魔界)へ連れ戻そうとします。また、突然に人間界と魔界を隔てる魔道が開いて魔物が襲来することもあり、聖の旅は常に緊張と戦闘を強いられるものでした。
 そんなあるとき、魔道が開いた高校に女子高生として入り込んだ聖は、同級生の麻宮洋に正体を知られてしまいます。男でも女でもなく、天使の羽と魔物の角をもつ聖。魔物に襲われた人間に哀れみをかけるどころか、むしろ自分を害した人間を囮にして魔物を倒そうとする聖。敵と見なした者は魔物でも人間でも容赦はしない。人間ではなく、聖でも魔でもないその正体を目の当たりにして、なお聖を気づかう洋。長い長い旅路のなかで、聖の真の姿を知っても変わらなかったのはたったひとり、洋だけ。
 その地を去るとき、自分に関わった人間の自分に関する記憶をすべて消去するのが、聖の常。しかし洋の記憶だけは消すことができませんでした。
 ──天使の力は愛する者には効かない。
 洋が自分にとって特別な存在になってしまったことに気づく聖。それはルシフェルの知るところとなり、魔王は「洋が生き続けるかぎり、この国に雨は降らない。それを止めたければ、魔界へ戻れ」と聖に迫ります。未曾有の干ばつに、危機に瀕する日本。
 聖を魔界へ堕としたくない、日本を滅ぼしたくもない。洋にできる選択はたったひとつ。
 洋を失いたくはない、魔界へ堕ちたくもない。聖が選んだのは相討ち覚悟のルシフェルとの決闘。そのとき、乾いた大地に雨が降り出します。
 恵みの雨が降りしきるなか、空に開いた「天の扉」に聖が願ったこと。それは……。


 天の力により聖の記憶を失ったはずの洋。しかし彼は、街なかですれ違った聖の姿に振り返り、そして姿を消すのでした。
 天使と人間、ふたりの旅は続きます。天使は、彼の人間としての人生を壊してしまう前に別れ、自分にとって天にも等しい光である彼の生を陰ながら見守っていきたいと願いながら。人間は、天使が地上をさまようかぎり傍にいてその孤独を癒し、いつか自分こそが「天の扉」を見つけ、天使を天へ帰すのだと願いながら。


 最終巻でようやく別れが前提のすれ違い愛にも決着がついたかと思ったのに、連載再開の『新章』ではまたぐるぐるやってるよ……。
 あれだけふたり共通の友人たちも、魔界の堕天使たちも振り回しておいて、究極の殺し文句で告白をして、また繰り返すのか(主に洋が!)。ほんとにお前らときたら、連載終了から10年経っても相変わらずで、イラッとくるような、ホッとしたような。


 「好いた惚れた」がテーマの小説やマンガ、ドラマが苦手だと思い込んでいた私に、「自分、意外とメロドラマいけるやん!」と開眼させてくれた作品です(笑)。まあ、純粋なメロドラマとは言い難いですけどね。
 1992(平成4)年にイメージアルバムも発売されたのですが、美しくもせつない旋律の楽曲もさることながら、洋のイメージソングを歌う野見山正貴のやさしい深みと色気のある男らしい声がのけぞるほどよくて、今でもよく聴くCDの一枚です(つか、まさに今聴いてます)。


 さて、この『新章』、どう展開していくのか。聖と洋の気持ちが少しは変化したのかどうかも合わせて、しばらく追ってみたいと思います。


「高橋美由紀公式ホームページ」内『天を見つめて地の底で』
http://t-miyuki.jp/prof/?key=A01

ミステリーボニータ 2010年 07月号 [雑誌]

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天を見つめて地の底で (8)

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天を見つめて地の底で (12)

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天を見つめて 地の底で

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