映画『レッド・バロン』は空を愛した貴公子の物語
『レッド・バロン』は第一次世界大戦で活躍したドイツ軍の若き撃墜王「レッド・バロン」ことマンフレート・フォン・リヒトホーフェン男爵の半生を描いた映画です。昨日、横浜のムービルまで観に行ってきました。丸の内ルーブルでの上映中には行けなかったので。
やはり「クラシックプレーンの空中戦は大画面で観るべき!」ですね。複葉機もさることながら、三葉機の迫力ときたら!! で、「三葉機って飛ぶものなんだね」と変なところで感心しました。
レッド・バロンの愛機、フォッカー Dr.Iが三葉機ってことは知ってました。でも三葉機って効率的にもバランス的にも極悪としか思えなくて、第一次世界大戦中、あれが本当に空中戦に使われたとはちょっと信じがたかったのです。しかし、映画のなかで飛びまくってましたね。戦況もさることながら、私はあの三葉機がレッド・バロンを死なせたのではないかと思っていて、それは映画を観たあとも変わりませんでした。
映画の感想としては、マンフレート・フォン・リヒトホーフェンの生涯について、一応の知識がないとわかりにくいんじゃないかな、と。逆に言えば、「欧米では彼の英名はくどくど描かなくても知れ渡っていること!?」(日本での源義経みたいに)と感心しました。空中戦の描写はすごかったけど、ストーリー的には起伏に欠けたかな……。
空を飛んで敵機と正々堂々と渡り合い、撃墜することしか考えていなかったレッド・バロン。しかし、その功績から「英雄」として戦争のプロパガンダに使われます。結果、敗色濃いドイツに引き際を誤らせて戦死者を増やしたことに責任を感じ、地上勤務の司令官から再び戦闘機パイロットとして最前線に戻っていきます。
そうした彼の人生のシークエンスひとつひとつに、もうひとシーンもうひと言必要なんじゃないかともだもだ。構成は悪くないけど、脚本と演出が感情移入しにくい。そこが少し残念だけど、佳作でした。
筒井百々子の『空の上のアレン』第4巻(東京三世社)で、サイコフライヤーたちの村の長・ゼア長老とわずか25年の生涯を空に捧げたリヒトホーフェン男爵の物語に感動した方にはお薦めです。
『レッド・バロン』予告編:http://www.youtube.com/watch?v=FSHdBa5rDDc
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