Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

アニメ映画『ももへの手紙』は映像も物語も島が点在する瀬戸内ならではの作品



 初監督作品『人狼 JIN-ROH』とは打って変わり、都会から瀬戸内の島に来た少女と妖怪たちの〝おつき合い〟をほのぼのタッチで描いた沖浦啓之監督のアニメ映画『ももへの手紙』。
 細谷佳正さんは電話屋の役で、セリフは二言くらい。広島弁が画面にいい感じに溶け込んでました。ももの母役の優香さん、妖怪三人衆の西田敏行さん、山寺宏一さん、チョーさん他、出演されている「大人組」は演技が映像に馴染んでいてステキでした。
 それだけに、もも役と島の子どもでももの同級生の陽太役のキャストさんがちょっと残念。たぶん制作側は少年少女の気負わない自然な言い回しを望んだのでしょうが、キャラの表情がアニメならではのオーバーアクションなので、芝居がかってるキャラから自然な(棒読みっぽい)言葉が出てくるのに違和感を覚えてしまいました。


 アニメ作品のキャストに俳優を起用するのは、「このキャラにはこの人の声・演技でないとダメ」という強いこだわりがある場合はアリだと思います。
 でも、そもそもアニメ作品は実写作品と違って、どんなに自然な言動を描こうとしても、アニメーターの思い描く「演技」から逃れられないわけです。だから、たとえば自然さを求めるなら、「自然な演技」という演技ができる人でないとダメだと思うんですね。アニメ絵というのがそもそも不自然なので、それを観る人に「自然だ」と思わせるには、声のトーンや話し方をどう操ったら自然に聞こえるのかというサジ加減が必要になってきます。
 それってかなり高等な技術だと思うので、舞台や実写作品で演技が上手だからといって、それが声だけで演じる声優として通用するかというと、違うと思うんですね。テレビならまだしも、映画はお金を払って鑑賞しますので、「なんかちょっと……」と思いながら観るのは損した気分になるんですよ。


『ももへの手紙』に関しては、主役を取り巻く方々の演技、特に妖怪三人衆が際立ってすばらしく、面白かったですし、ももも感動した「しまなみ海道」の島々の連なりや海と緑と空が織り成す風景、昭和の懐かしさを感じる街並みなど、映像はほんとに美しかったので、損をしたとはまったく思いませんが……。


 『ももへの手紙』、私の感覚では「沖浦監督はこういう作品を作りたかったのか!」と少々意外な気がする御伽話。広島県にルーツをお持ちとあって、瀬戸内の島の空気が見事にスクリーンに充溢していました。
 物語は単純明快ですので子どもにも、昭和が懐かしい世代にも、妖怪好きにもお薦めの映画です。


 『ももへの手紙』サイト:http://momo-letter.jp/
 『ももへの手紙』予告編:http://www.youtube.com/watch?v=hpzecZnRI44
 


ももへの手紙 [DVD]

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