Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

さまざまな水の描写とまとまりのいい物語が気持ちを浄化する……アニメ映画『言の葉の庭』



 アニメーションにCGが取り入れられて何が一番変わったか。私の感覚では「水の描写」です。『009 RE:CYBORG』でそれを感じたのですが、『言の葉の庭』は雨がポイントになっているだけに、さまざまな水の形態の表現をこれでもかと見せてくれました。
 空から降る雨に「ちょっと前までは降雨の描写って線だったんだよな」とか、タイルや木床に落ちた雨が作る波紋に「(略)線で描いた円だったんだよな」とか、感慨を覚えながら観ました。電車の窓に当たる雨、木々の葉に当たる雨、降雨もしとしと雨からゲリラ豪雨まで、言の葉より水に溢れている映画です。


 そう、本当に言葉が少ないんです。メインの二人以外はほんとにモブ的な登場で、その二人も必要十分なセリフしか言わないので、かえってそのひと言ひと言が残る感じ。彼らの言葉ひとつひとつがパズルのピースになっていて、すべてはめ込み終わると、一枚の絵が見えてくるイメージ。


 舞台となる新宿御苑の風景の描写がこれまた美しいのですが、それ以上に「新海スカイ」と言いたいくらい独特の色合いとエア感をもつ空の描写が……。オレンジと灰青色をベースにした空は『ほしのこえ』から変わらないものの、深度を増して進化しているように感じました。


 あと、特筆すべきは、物語がきれいに決着していること。その後の二人への想像の余地は残っているものの、映画の中で物語は始まって終わり、そこには謎の一片もなく、矛盾のもやもやもありません。劇場アニメ作品で久しぶりにカタルシスを味わいました。むしろ掌編としてまとまりすぎてる感があるくらい……。


 観賞後、カップルで来ている人たちが席を立ちながら「今度、新宿御苑に行こう」とか「新宿御苑に行きたくなった」とか話してました。新宿御苑を俯瞰で見るシーンがあって、「見下ろすとこんな感じなんだ」と新鮮でした。ちょくちょく通るわりに全体を知らないので、ゆっくり散策に行きたいと思います。


 『言の葉の庭』サイト:http://www.kotonohanoniwa.jp/
 『言の葉の庭』 予告篇 "The Garden of Words" Trailer:http://www.youtube.com/watch?v=udDIkl6z8X0
 


劇場アニメーション『言の葉の庭』 DVD

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