Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

沈黙に時が降り積もる ドキュメンタリー映画『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』



 フランス・アルプスの山中にあり、カトリック教会の中でも厳しい戒律で知られるグランド・シャルトルーズ修道院。観光はもちろんカメラの侵入も許されず、この映画の撮影も1984年の申請から16年後の2000年に許諾されました。
 撮影の条件は、映画は音楽なし、ナレーションなし、照明なしで、撮影したままの映像を使うことと修道院内に入るのは監督のみ。5年後、修道院の毎日が淡々と流れていく2時間50分の映画が完成しました。


 その映像から受けた印象は、フェルメールの絵画の色と空気感は実在したんだ、ということ。修道僧が台所で料理を作るシーンの家具や壁の色、服の色、窓から差し込む光と影の色、部屋に満ちている静謐にして温かい空気。想像でも個性でもない、フェルメールの写生力、描写力のすごさを思い知りました。


 祈りと瞑想、読書と思考に支配された、変わらない日々がただ繰り返されるのですが、最初に映された物品や情景が、後に具体的に描かれて、「ああ、そういうことだったのね」とわかるような、ちょっとした演出も考えられています。
 ネコを世話したり、雪を掘って畑を耕したり、雪山を滑ったり、頭を剃り整えたり、庭で談笑したり、祝祭日には特別な祈祷をしたり。変化のない毎日の中に挟まれる、他愛のない?特別?が本当に貴重なものに感じられてきます。


 寝不足で行くと、寝倒しかねないのでご注意。私もところどころ意識が飛びましたし、熟睡している方もいらっしゃいましたし。
 3時間、修道院の生活を目と耳で体験するもよし、中世・近世の絵画の色彩に理解を深めるもよし。特異な経験ができること、請け合います。


 『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』サイト:http://www.ooinaru-chinmoku.jp/
 『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』予告編:http://www.youtube.com/watch?v=vU9FTzbl6Z0