Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

『ヒモメン』第1話は「この手で来たか!」のオンパレード


働き方改革」ってなんだ!? 「働き改革」とは、端的に言えば、ひとりが残業して担ってきた仕事を複数でシェアし、残業ゼロで家庭で過ごす時間を増やすことで、生産力を維持し、出生率を上げようってことでしょう。番組のキャッチの「働かないという、働き方改革。」ってなんなんだ!? というのが、第一印象(「そこから!?」って、自分で自分にツッコミましたよ、ええ)。

私が原作に感じた“毒”は、翔ちゃんが「自分さえよければいい」という真意を隠しもせず、口だけでゆり子を言いくるめようとするところ。あと、ゆり子が「こんなにダメだけど、翔ちゃんが好き」で許すことで、「女性は、愛さえあれば、なにをしても許してくれる」なんて、勘違いしがちな“男性にやさしい”マンガだなと思ったのですよね。
さらに、「皮肉な目で見た、男性と女性の役割逆転劇」とまで言ったらきな臭くなるので、これ以上はツッコミませんけど。


そんなわけで、「たぶん不快になる」と海抜ゼロどころか日本海溝くらいの期待値で観たからか、意外に「悪くない」と感じました。
ちびまる子ちゃん』や『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』のような、ナレーターのツッコミ待ちのコメディ。ナレーションにキートン山田を起用するところが確信的で、「なるほど、その手があったか!」と手を打ちました。

原作は一話一話が短く、ゆり子が翔ちゃんを更生させようと繰り出すあの手この手を、彼がことごとく撃墜するというコメディ。ドラマ化で一番気になったのが、あの短い話を一話40分にどうふくらませるのか、ということです。
それは、ゆり子が髪を乾かして、気持ちよく眠りにつき、そして「何も解決してない!」と(心の中で)叫んで飛び起きる=オチという形で複数のコメディ・シチュエーションをつなげることで解決。これまた「その手があったか!」な方法で、よく考えられていると思いました。

よくある恋愛コメディに見せながら、毒あり、ツッコミナレあり、4コマ的オチありで、『僕たちがやりました』に続いて、またしても実験的作品に窪田正孝抜擢かあ、と。まあ、テレビ朝日の「土曜ナイトドラマ」は『ココだけの話』とか『オトナ高校』とか『おっさんずラブ』とか、かなりとんがった作品枠という印象があるのですけれども。


さて、窪田さんの翔ちゃんですが、Tシャツに短パン、トレーナー姿でポン太ぬいぐるみを枕にゴロゴロしているのがデフォだからか、ご本人もリラックスして演じられている様子。気が抜けた役だからか、肩の力がいい感じに抜けていて、こちらも気楽に観られました。
ゴロゴロしているわりには、突発的に動くときの跳び方とか走り方とかがキレッキレで、翔ちゃんに“やればできる子”的な魅力を加えているのが大変よろしい。原作の翔ちゃんは今ひとつ、ゆり子がコイツのどこに惚れたのかわからないのですが、窪田翔ちゃんなら、ダメ男と見抜けず惚れちゃうのも、「ステキな彼氏」と自慢しちゃうのも、結婚を夢見る気持ちもわかります。
勝地涼の「こんなかわいい顔で甘えられたら、飼っちゃいたいなと思いますよね」は決してお世辞ではなかった!(笑)

ちなみに碑文谷翔は外面だけは良くて、「IT企業の社長」などと名乗ったりするのですが、第2話予告の窪田翔ちゃん、楽々クリア!(わかってたけど)
3週間前(実家を追い出されて、ゆり子の家に転がり込んでくる前)の翔ちゃんがこんなにパリッとしていたなら、その過去を知るからこそ、ゆり子が彼を許してしまうんだ、期待してしまうんだとわかります。わりと、ここ、重要。


役柄とは別の意味でも、窪田さんの翔ちゃん役には期待があります。少々偉そうな物言いになり恐縮ですが、窪田さんには「力の抜けた演技」を会得してほしいと密かに願っていたので、『ヒモメン』は「出会うべくして出会った」作品と感じています。
役にのめり込む彼の演技は、架空のはずのキャラクターがリアルに生きているがごとくの話し方、立ち居振る舞いに魅力があるのですが、時に肩に力が入りすぎて、人間としてはありでも、視聴者や観客に見せる作品の中に存在するキャラクターとしては、観るのが「しんどい」と感じるときがたまにあります。個人的なところを言えば、『僕たちがやりました』の最終話が「しんどい」。
もうちょっと「どう見せるか」より「どう見られるか」も考えて、力の抜き方を体得してほしいなと思っていたところで、“抜き”が必要な翔ちゃん役はジャストでした。『ヒモメン』を経てまたぐっと役の幅が広がるのではと、早くも確信しています。


ゆり子を演じる川口春奈はかわいいし、演技のテンポもいいし、キレたときのギャップもまたいい! 私には「金田一少年の事件簿」シリーズの七瀬美雪役の印象が強くて、天然っぽく見せつつ、いざとなったら男性に喝を入れる女性役はぴったりと感じます。ヒモ飼い先輩でもある田辺先輩(佐藤仁美)が、今後、どのようなアドバイスをくれるのかも楽しみです。
尾島看護師長(YOU)の見事すぎる手のひら返しに、ステキ狂言回しっぷりがこれからも期待の池目先生(勝地涼)など、病院サイドの人間関係が面白い。原作でダメンズ好き(ダメウーマンも好き)な後輩がドラマの浜野(岡田結実)なら、ますますカオスになりそうです。


気になるのが、このドラマの落としどころ。翔ちゃんが働いちゃったら、ありきたり。相変わらず翔ちゃんはヒモのまま変わらぬ日々が続くと締めるにしても、ドラマとしてどこかにカタルシスは必要でしょう。どのようなシチュエーションをクライマックスに置いて、どう着地させるのか。それがわかるまで(つまり最終回まで)、追いかけるつもりです。


http://www.tv-asahi.co.jp/himomen/