Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

噛み合った歯車のごときミステリー 映画『鑑定士と顔のない依頼人』



 『鑑定士と顔のない依頼人』は、『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』などで知られるジュゼッペ・トルナトーレの監督・脚本作品です。


 絵画はもちろん古家具・骨董品まで網羅する、確かな見識で誉れ高い鑑定士であり、名オークショ二ア(競売人)のヴァージル・オールドマン。彼が受けた、若い女性からの屋敷の鑑定依頼の電話がすべての始まりだった。
 やり取りはすべて電話で、決して姿を現さない依頼人。気まぐれな彼女に怒りを募らせるオールドマンだが、やがて「彼女の姿を見たい」という欲求に抗しきれなくなる。
 Virgil Oldmanという名が皮肉なほど、絵に描かれた女性をコレクションすることに悦びを覚え、生身の愛を知らずにきた彼が、娘ほども歳の離れた27歳の女性に惹き込まれてしまう。さて、その愛の行方は……。


 登場するオートマタ(機械人形)を動かす歯車の噛み合せのように、周到に計算されて組み上げられていく物語。ラストに映るプラハにあるという店内が歯車だらけのカフェ「ナイト&デイ」がすべてを表している気がします。
 彼を取り巻く人物たちのセリフを思い返せば、映像で描かれた叙述トリックと言ってもいいかもしれません。「あのとき、ああ言ったでしょ」的な。特にビリーとの会話は心に留めておくといいかも。


 この映画で圧巻なのはストーリーテリングですが、ヴァージルが集めた美女画コレクションがまたすごいのです! ルノアールゴヤ、モディリアニ、ロセッティ、ティツィアーノ……観たことがある名画ばかりが四方の壁を埋め尽くしているのですから、呆気にとられてしまいます。
 あと、依頼人が鑑定に出した屋敷も、5つの都市にある邸宅を合成したというだけに、美意識が行き届いた各部屋の装飾は溜息ものです。


 『鑑定士と顔のない依頼人』サイト:http://kanteishi.gaga.ne.jp/
 『鑑定士と顔のない依頼人』予告編:http://www.youtube.com/watch?v=3a5hxZ-chfM
 



いろいろな意味で唖然呆然としたあとはヴァージルと記念撮影など(写真は新宿武蔵野館)。

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