Diary For Paranoid @ hatena

思いつくまま書くブログ。最近は窪田正孝出演作品感想に特化してます(笑)。

『4号警備』その1 28分間のドラマは3倍濃縮の特濃ジュースだった!



 毎週楽しみに視聴していた『4号警備』が終わりました。次の土曜日20時15分にテレビをつけても観られないのかともの寂しく、『4号警備』ロス、かなり後を引きそうです。



 私が『4号警備』に興味をもったのは、「警察ならぬ民間警備会社によるボディガード、“身辺警護”の最前線を描く物語」で、主人公の朝比奈隼人は「元は警察官だったが、ある“挫折”のために退官し、警備の仕事に就い」ていて、その相棒の石丸健吾は「かつては会社経営者で妻子もいたが、今は 独り暮らし」という設定で、「実写ドラマでこの内容で30分×7話に収まるの!? どういう魔法を使うの!?」と思ったのがきっかけ。オリジナル脚本というのにも好感をもちました。ドキドキワクワク第1話の放送を待ち、そしてどっぷりハマってしまったのです。



 まず、いちばんの関心だった「28分内にどう物語を収めるか」。その答えとして、私はアニメのメソッドを感じました。28分間における展開の配分、シークエンスの長さ、すべてに意味をもたせた、削ぎ落とされたセリフ、登場人物のくっきりとした表情、表情に乗せる感情のファジー感の少なさ、各話にある繰り返し要素(朝比奈の回想、獅子丸呼びのやりとり、ちくわなど)など。

 実写作品では演じているのが人間なだけに、個々人のセリフの間の違いとか、感情が乗っていない曖昧な表情とかが普通あるものですが、『4号警備』には、必要な間は取られていても、必要な無感情な表情は撮られていても、余白というかムダというかが一切感じられないところに、アニメのコマ打ちというかタイムシートが浮かんだのです。



 そう考えると、主演の窪田正孝は表情芝居に定評のある俳優さんなんですね。『デスノート』で二次元を三次元で表現できる役者と言われましたが、私がそれを感じたのは『ジョーカー 許されざる捜査官』の第4話、心神喪失のふりをする犯罪者のふりをする狂人(とあえて呼びます、椎名については)を演じる窪田さんを見たとき。あのときの顔の演技もコイントスの演技も、二次元でしかあり得ない“絵”が三次元に出てきたような、なんとも言えない気持ち悪さに鳥肌が立ちました。

 『4号警備』で、朝比奈の多層な仮面が視聴者を混乱させることなく、さらにカッコよさを崩すことなく伝わっているのは、窪田さんの表情の演技力があってのことだと思います。第5話の池山部長から小林の出所の知らせを聞く朝比奈の反応は、窪田さんの真骨頂でしょう。

 その相棒役である北村一輝も、顔の造作が深く濃く、表情の変化がはっきり見える方。とぼけたところのある精悍な役や男の色気が漂う役の印象が強い北村さんが「さえない中年男役!?」と驚きましたが、下がり眉におどおどした目の動きで、一度世間からバッシングを受けたトラウマや被害者意識を見事に表現されていました。でも隠しきれない押し出しの良さに、元はやり手の経営コンサルティング会社社長の気配も漂っています。

 この「見れば、その人となりがわかる」というわかりやすさ。池山部長役の片岡鶴太郎やゲストのキャストも含めて、ちょっとした意図を感じたのです。



 もちろん、確かなことは制作サイドに聞かないかぎりわかりません。私の勝手な妄想です(笑)。ただ、特撮ではない実写で30分弱、全7話のドラマを作るにあたり、NHKがかなり実験的な作品を打ち出してきたことは確かだと、最終回を迎えた今も確信しています。



(5月7日のTwitter投稿を加筆修正)


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